1.「日記を書くのが惜しい」
もっともっと自分の中で反芻していたい。
日記に書いてしまうと、なんだか「思い出の額」に入って終わったことになってしまいそうだから。
それほど楽しい嬉しい誕生会だった。
6月7月生まれの誕生会がマ行家で行われた。
そこへMJさんとながこさんがいらっしゃるとのこと。
急遽歓迎会も加わり、準備も楽しかった。
MJさんはお仕事でこちらの方に来られるから、お泊りで。
でもながこさんの日帰り参加はどうも「サプライズ」っぽかった。
でも知ってしまったから、それを何とか活かせないかと「サプライズ返し」を計画した。
「わたしが歓迎の幕を作るから、ながこさんが到着したらみんな洗面所に隠れてて『わッ!』って脅かそうか?」と提案したら、冷静ななつきママが、「車の数でみんなが来ていることが分かると思います」。
そうだよなぁ。
だったら、知らないことにして会った時に大げさに驚くか。
マ行家に向かう途中、有加ちゃんに電話をして、ながこさんが来ることを私達が知っているとながこさんは知ってる?と訊いた。
全く知らないのと、気づいているのとでは、大げさに驚く時の演技や台詞が違ってくるからね。
有加ちゃんは「大げさに驚いていいよ」と言った。
だからマ行家に行くまで、いろいろ考えた。
「いや~ッ!どうしたの~ッ!びっくりした~~~ッ!」というのが、一番だろうと決めていたのに、家に入ってながこさんの顔を見たとたん出てきた言葉は「いらっしゃ~い!」だった。
他所のお家にお邪魔して、もう来ている人に言う言葉じゃないよね。
そして驚いたことに、全員が来ていた。
この時気づかなければならなかった。
普通私達が到着する前に全員が揃っている事はおかしいと。
やすこちゃんやアケチャンが、わたしが書いてきた幕をながこさん達に気づかれないように貼ってくれるというので、MJさんとながこさんと違う部屋の見学をすることに。
OKの合図をもらったので、リビングに戻った。
そこはすでにお誕生会の飾り付けがしてあって、華やか~♪
私の幕は、テレビに貼られてあった。
それぞれテープが飛び出すクラッカーを持ち、「おめでとう!&いらっしゃ~い♪」の乾杯となった。
問題はここからだった。
2.「覚悟を決める間もなく」
6月生まれで、しかも還暦だから無事で済むとは思っていなかった。
このメンバーが何もしないハズがないのだ。
サプライズはケーキの時だから、それまでは酔ってはいけない!
6月7月生まれのパグズを抱っこして、ケーキの前で写真を撮る。
そしたら気をつけないと、クラッカーが鳴ったり花束が出てきたりするかも知れない。
夫が花束を抱えて来て、「絵夢のだよ~」と言われても涙が出たのに、わたしのための花だったら号泣しちゃうよ。
乾杯が終わって、さあBBQ!と思ったら、みんながこっちこっちと言う。
窓のカーテンが開けられ、そこにあったのが。
「祝還暦 ダイスケ母さん」の幕だった。
その大きさにもびっくりしたが、丁寧な仕事にまたびっくり。
幕の前には大きなパグ人形や風船の犬達がいた。
帽子のひとつひとつに文字が貼ってあり、それを被り順番に並ぶると「ダイスケかあさん おめでとう」になる。
プレゼントは額と暖簾、熊野化粧筆。
額の絵はケイ画伯、文章はなべっちが考えてくれたとか。
暖簾はめでたい赤。「居酒屋 ダイスケ」と染め抜いてある。
亮太から「お手紙」を読んでもらい、ウルウル。
最高!
本当に嬉しかった。
こんな心のこもったお祝いをしてもらって思ったことは、「長生きしてよかった~!」。
まるで夢をみているようだった。
この後ワタシは本当に夢の中に行ってしまうのだけど…。
3.「BBQなのだ!」
マ行家はお庭にBBQの炉がある。
何を食べようか…という相談の時、「夏といったらBBQでしょう!」のアケチャンの一言で「そうだよね~」と決まった。
アケチャンが、肉とお酒は準備してくれるというので、我が家は海鮮と果物、やすこちゃんはソフトドリンク、なつき家は焼きそば、有加ちゃんはケーキね~♪と割り振った。
もし天気が悪くても、マ行家に雨の心配は要らない。
でも外で食べるBBQは最高。
MJさんが鰹の叩きや特製ベーコンを差し入れしてくれた。
これがまた、最高なのよ。
ビール、シャンパン(F1の表彰式でしか見た事がないようなデカいやつ)、ワイン、焼酎、日本酒!
ワタクシ、フルコースでいってしまいました。
どんどん焼かれるお肉やサザエ、飲んで食べて飲みました~♪
ご存知の方はご存知ですが、ワタクシの酔っ払った姿はそう珍しくはありません。
今回も記憶のないレベルで、いってしまいました。
翌日カメラを見ると、「私の知らない私」がいっぱい。
幸いやすこちゃんが電話をくれて、画像とかすかな記憶でなにがあったのかが分かりました。
体のあちこちがなんとなく筋肉痛だと思っていたのは、コケたからだったのね…。
本来なら恥ずかしくて消え入りたい気持ちになって、「もうお酒飲まない!」と決心したりするのでしょうが、みんなの画像を見せてもらって「いいなぁ、楽しそうに酔っ払ってるなぁこの人(わたしのことね)」と思ってしまいました。
記憶にはないけど、しっかり楽しんでいたようです。
BBQも終了し、部屋に入ってケーキでお祝いです。
ケーキもアケチャンの特注。
これも相談済みだったらしく、わたしが「ケーキは有加ちゃんね」と割り振った時「分かりました~」という返事はダミーだったようです。
ケーキを切っているわたしも、凄く嬉しそう。
記憶がないのに、MJさん達が帰る時は手を振って見送ったことは覚えてて、「MJさん達、ケーキ食べてから帰ればよかったのに」と思っていたら、画像にはちゃんとケーキとMJさんながこさんが写っていました、
しかもなんと!
コケたわたしを介抱してくれているのが、MJさんとながこさん。
還暦を迎えてこんなことでいいのか?
そう自問自答してみた。
しかし全ての還暦を迎えた人が若者のお手本になるような立派な行いばかりしていたら、還暦になるのをみんな楽しみにしないかもしれない。
「還暦ダメ部門」というのもなければ、立派な人達が引き立たないじゃないか。
わたしは頑張って昭和28年生まれの仲間を、引き立たせてあげよう!
あんな人でも長生きしてていいんだね~と思われるのも、社会への恩返し。
「そんなことはしなくていいから、酔っ払わないで生きていきなさい」って言われそうだけどね。
4.「おまけ」
家について気が付いた。
「カバンがない!」
携帯も財布も免許証も入っている。
アケチャンに電話をして、「宅急便で送って~」とお願いした。
まったくもって迷惑なことだ。
こういう集まりの後は、「無事に帰宅しました」とか「お疲れ様でした」とかのメールが飛び交う。
しかし、返信が出来ない。
ダイスケの父が、「あんなにお祝いしてあげたのに、ありがとうの一言も返って来ないって、みんな怒ってるぞ~」と言う。
月曜日、アケチャンが「母さんからの返信は明日入る予定です!携帯ただいま郵便局にお預かりちゅう~」と書いてくれた。
携帯も財布もカードも免許証もない状態がこんなに不便なものだとは思わなかった。
「もう少しちゃんとしようっと…」と思ったワタクシでした。